そこは王様の消えた世界
今、すべてが解き放たれ 権力と希望、傲慢と純真、
そして過去と未来が衝突し逆転する混沌の果てに世界が見出すものを
私達はまだ知らない。
(アレグリア2・ガイドブックより引用)
原宿のビッグ・トップで公演されているシルク・ド・ソレイユの『アレグリア2』を観にいった。
で、感想――
すばらしい!! その一言につきた。
シルク・ド・ソレイユの演技は基本的にサーカスの曲芸のそれを基本に置いているようだが、他のサーカスと根本的に違うのは、その完璧なまでの『世界観』だ。開演前のざわつく会場の中を謎のクラウン達がうろつき、観客を異世界へ誘う準備を始める。そして光と音と共に闇の中から摩訶不思議な世界が姿を現す――。既にそこにはサーカスの云々はない。あるのは闇の異空間から現れた不思議の世界の住人達が魅せる『肉体表現による歓喜(アレグリア)の技』だった。想像力を十二分に楽しませてくれるキャラクター達とその鍛えられた肉体、そして彼らが魅せる極限にせまる離れ技はエンターテインメントと芸術の狭間に存在する異世界の儀式のようだった。
詳しい舞台の内容はネタばれになる(それ以前に、この内容と感動を表現するうまい言葉がみつからない)ので控える。
写真はガイドブックより(2000円もしやがった。たっけ~!)
入場料が若干高いせいもあったのか、会場は大人達が目立った。でも、こういう作品こそ是非、子供達に見せ、『人間が持つ可能性とすばらしさ』をその小さな目に焼き付けて欲しいものだと思った。(その点『ポップサーカス』はお手ごろでいいですよ。もし、近くに来たら是非、ご家族連れで!)特に昨今の子供達は、大人達の思惑で、「偽の感動」や「情報の為の情報」づけにされていることが多くなったので、特にそう思ってしまう。
『子供達に、もっとサーカスを!』
最後にガイドブックに、ちょっと気になったコメントがあったので引用しておく。
私達は幻想を抱いてはいません。ストリートチルドレンが『アレグリア』を見ることはないでしょう。彼等にとって「笑い」は、手の届かない贅沢なのです。
だから今夜、私達の歓声は怒りの叫びとなるでしょう。
私たちが彼らのことを想っている間にも、何百万もの子供たちの心はさらに凍りついているのです。
『アレグリア』が、世のなかを変えたいと思っている人びとに刺激をあたえますように。 フランコ・ドラゴーヌ(ディレクター)
う~ん……。確かに言いたいことはわかるけど、それってここで言うべきことなのかなぁ…? なんて思った。
――サーカス鑑賞を小学生の必須科目にすべきだ!と力説する文鳥