下の写真は昔私がデザインしたゲーム広告だ。上からファミコン版”ドラゴンクエストⅢ(㈱エニックス)”の広告、ポスター、パッケージ。一番下が幻の迷作”バッテンオハラのスチャラカ空中戦(㈱テクノスジャパン)”のチラシ。
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実はこのデザイン、前回の雑記に書いたデザイナー横尾忠則氏の影響が諸に現れたものだ。(DQのポスターとパッケはちょっと控えめ…)ちなみに普通のデザイナーはこんなクセのある広告デザインはしない。てゆーか、一介のデザイナーがこんな趣味性の強いデザインをしたら普通はクライアントから叱られる。それでも、このようなデザインを許していただいた、今は無きエニックス社、テクノスジャパン社の寛大さには感謝している。(嗚呼、いい時代だったなぁ……)
横尾氏は商業美術という枠を超え、アートに近い感覚でポスター等をデザインし、その為に印刷技術の限界までチャレンジしていた。私は氏のそういう制作スタイルにあこがれ、いつかチャンスがあったら氏のようなデザイン広告を作ってみたいと思っていた。そしてゲーム業界に入り、そのチャンスに恵まれ、かねてから抱いていた願望をコソ~リと具現化することができた。それが上記の写真の広告だ。 ちなみに、ふたつの広告デザインとも横尾氏よろしく細かい印刷指定が多かった為に印刷屋さんを泣かせたことを記憶している。(すんませんでした……)
ところで去年だったか、サクラ大戦というゲームがミュージカルになった時、その広告ポスターのデザインを担当したのが、なんと横尾氏だったそうだ。「う~む、広井王子(サクラ~のプロデューサー)め。 きさまも横尾忠則ファンだったのか。くそっ、うらやましいぜ!」――と、若干の嫉妬の念を抱いたが、同時に「横尾さん、仕事選んでくださいよ~……」なんていう複雑な気持ちも湧き上がり、ちょっと虚しかった。(大きなお世話だけどね……)
――横尾氏が心のお師匠だった文鳥
PS:横尾氏の作品は、60~70年代当時、アンディー・ウォホール等に代表されるポップアートとして世界的に有名であった。ちなみに氏は80年代に入り商業デザイナーを辞めアーチスト(画家)に転進された。