誰の人生にも”ターニングポイント”というものがある。
下の写真は私が大学在学中にお会いし、私の人生の方向を大きく変えてしまうきっかけを作っていただいた世界的デザイナー”横尾忠則”氏が書かれた”我が座禅修行記”(講談社刊)という本だ。(AmazonWebサービスにひっかからなかったので現在は廃刊か?)
この本は、当時(1978年頃)横尾氏が”GORO”という若者向け雑誌に連載されていた、氏の日本中を巡る坐禅修行の旅の記録を一冊の本にまとめたものだ。氏はこの旅の途中、私が在学していた大学の夏季集中講座の特別講師として招かれた。私は子供の頃からの氏に興味があったので彼の講義を受けてみた。で、驚いた。”デザイン理論”を講義するはずだったのに、氏は開口一番「知識や理論は本屋さんで売ってる専門書でも得られるので、それでも読んでください」と言い放ち、いきなり我々生徒全員に坐禅をやらせたのだ。その後も氏は、ビートルズ、UFO、オカルトの話等、おおよそデザインとは直接関係のない講義を続けた。(講義は2週間のスケジュールだった) 途中、講義内容に不満を言う美術課の真面目な生徒達もいたが、私はそのユニークな講義がおもしろくて仕方がなかった。
「やっぱり、第一線で活躍する人は違うなぁ。俺もこういう人になりたい……」
それまでは、大学を卒業したら学校の美術の先生になろうと思っていた私だったが、横尾氏と会ってからは、そんな狭い世界ではなく、横尾氏が活躍するような”広い世界”に飛び込みたくなった。そして、私はそれまで親に乗っけてもらっていた人生の列車から、自ら飛び降りてしまったのだ。――まぁ、今から振り返れば正に若気の至りというやつだが……(苦笑)
本の中には私が受けた講義のことも横尾氏によって書かれてある。だから、”我が坐禅修行記”という本は、私にとってはただの本ではなく、私の若き日のターニングポイントの証拠品みたいなものだ。ちなみに下の引用写真は、講義中に瞑想をしている(いや、やらされている)当時の生徒達の様子だ。一番手前の顔が書かれたTシャツを着て坐禅している人が横尾氏。もちろん私もこの中にいる。(何処かは秘密)
今見てみると、クソなまいきな面をしてたんだなぁ… 俺。
――人生いろいろ文鳥
PS:上の写真を撮られたカメラマンの倉橋正さんは、とっても気さくな人だったなぁ…