”行方不明になった子供が警察の捜査で無事帰ってきたが、何故か別人だった。それを否定する母親を何故か認めさせようとする警察。母親は「子を思う愛情」という力で警察の妨害と闘いながら実の子を探そうと孤軍奮闘するが……”と、いう実話を基にした設定で、かつ、監督がクリント・イーストウッドということなので「観らでか!」な気持ちで映画館へ行ってみました。
で、感想……
これって、猟奇殺人事件(ゴードン・ノースコット事件)がベースの作品だったのですね。てっきり「子を思う母の愛情」がメインになった、ハードな山田洋次的な作品だと思い込んでいました。とにかく、すげぇ作品でした。猟奇殺人、警察の腐敗、女性差別、弱者差別、歪んだ精神病院、教会の力、死刑問題、子供の犯罪、殺人者の心理、体制批判、母の子を思う愛情の深さ、そして希望……と、いろんなテーマがてんこもりで、かつ、それらがうまく構成されているという、イーストウッドの「匠の技」をひしひしと感じざるをえなかった内容だったのです。正直、先日観た、「ベンジャミン・バトン」よりも、よっぽどこちらの方がアカデミー賞「作品賞」の有力候補にむいているのではないかと思ってしまいました。でも、実際はそれほどの評価は得られなかったようで、まぁ、それも分からない気がしないでもないです。
だって、内容が「かなりキツイ」んだもん。
子供殺しのシーンで血をとばしちゃマズイっしょ。とくに、子どもを大切にするアメリカ~ンにとっては「不快」なシーンのなにものでもないし、ロス市警の腐敗ぶりの表現も見ていて生理的に吐き気がするほどリアルだし、警察に言いくるめられる主人公の女性の愚かさぶりも観ていてイライラしてしまいます。そう、すべてが「なまなましい」のです。まぁ、実話が元になっているということもあるので、そこんとこに「こだわった」イーストウッドの監督のポリシーも分かりますが、それにしても鑑賞体力をかなり使いまっせ。
でも、私はこういう作品は大好きです。
ちなみに、チェンジリング(Changeling)の意味は、「取り替え子。ヨーロッパの民話で、妖精が人間の子供をさらった後に置いていく妖精の子供」だそうです。 そうだったんだ、知らなかった!
あと、先週観たDVD。
「ディパーテッド」っす。今頃観たっす。「巨匠マーティン・スコセッシが、香港映画『インファナル・アフェア』をリメイクしたアクションサスペンス。マフィアに潜入した警察官と、警察に潜入したマフィアの死闘がスリリングに描かれる。レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンが主人公の警察官とマフィアをそれぞれ熱演。名優ジャック・ニコルソンがマフィアのボス役で脇を固める」……という、作品でした。
で、感想……
主役級が3人もいるので、どういう着地点にするのかな?と期待してましたが、なんと、全員殺しちゃったんですね。それはそれでいいのですが、着地のさせ方がちょっと強引な気がしました。あと、なんか解せない設定も……。原作の『インファナル・アフェア』が観たくなりました。って、映画好きって言ってる割には、観てない作品多いなぁ、俺……。