首を長~くして待っていた中島哲也監督の新作「pako.jpgパコと魔法の絵本」を観にいきました。

監督:中島哲也/脚本:中島哲也、門間宣裕/原作:後藤ひろひと/撮影:阿藤正一、尾澤篤史/音楽:ガブリエル・ロベルト/美術:桑島十和子/cast:
役所広司アヤカ・ウィルソン妻夫木聡土屋アンナ阿部サダヲ加瀬亮小池栄子劇団ひとり山内圭哉國村隼上川隆也 /製作国:2008年日本映画/上映時間:1時間45分/配給:東宝

 

で、感想……

いやぁ~~うまいなぁ~!! B級の手法を使ったA級映画というか。想像力溢れる映像とセンスの連続! 期待を裏切らない内容で大満足でした。こんな作品撮れる監督って日本では彼しかいないんじゃない?

内容は前作の「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」のコテコテの人間ドラマとは一風変わった「絵本」をもとにしたファンタジー。 どんなファンタジーかというと、ディズニー風実写+アニメ合成ミュージカルテイストあり~の、アンチ・ディズニー的なブラックさあり~の、ティム・バートン的「世からはじき出された弱者に対する愛情たっぷり」テイストあり~の、それにCMで培った中島監督のポップさとリズム感がコーティングされた感じな作品です。と、言ってもわかりませんよね。そうですよね。まぁ、とにかくこの手の「斬新な作品」は観てみないと理解できないと思いますので、ご興味ある方は是非劇場へ!

しかし、こういう超斬新な作品を創れる中島監督の頭の中はどうなってんでしょうね? 多分、彼はどちらかというと「優秀なアニメ監督」のように、頭の中やコンテレベルで一度作品を完成させ、それをさらにスタッフやCGを使ってフィルム上に正確に再構築できるタイプじゃないかと思ったりします。つまり、かなり強烈なイマジネーションの持ち主かと。こう書くと、「え? それって、その道のクリエイターには「あたりまえの才能」じゃないの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、意外やプロでも自分の頭のイメージが明確でなく、とりあえず「さぐりさぐり映像」を創るというタイプが結構多いんですよね。(もちろん、それが悪いという意味ではありませんよ。さぐることで頭の中では創造できなかったいろんな発見もできますからね)

ふと、唐突に思ったんですが、なんか中島監督と宮崎駿氏って似てる感じがするんですよね。 どこが似てるかというと、両氏とも頭の中で一度完成させた映画を本当は一人で創りたいのだけど、それは無理だから、「仕方なくスタッフに手伝ってもらって映画を作っている」という雰囲気がプンプン臭うところが。(あと、髭面だし、ワンマンだし、スタッフに対してどなりまくるところも(笑))

あれ? これってあの巨匠、黒沢明にも似てますな。(黒沢は髭なかったけど) 個性的で質の高い作品を創る作家って共通点があるんでしょうかね。ワンマンという。でも、ワンマンだから良いのでしょうね。作品創りって。だって、そもそもそれって「てめぇの頭の中のこだわりを世に露出する」言いかえれば「パンツを脱いでの己のすべてを見せる」という、とても恥ずかしい行為ですから。パンツ脱ぐのに人の顔色なんか気にしちゃ、脱げるものも脱げませんよ。(ナンチュー例えじゃ) もちろん「民主主義」や「マーケット・リサーチ」な体制での作品創りもありだと思いますけど、やはりそれって「没個性」になりがちで、ユーザーの心には残りにくいんじゃないのかな? だれもパンツ脱ぎたがらないでしょ? 作品って結局「人」ですからねぇ。

ところで、今回のパコでは、やたらと「星くずキラリン・エフェクト(ティンカーベルが移動する時についてくる星くずね)」が目立ちます。使いすぎちゃう?というぐらい。 この傾向を私が推測するに、たぶん、下妻物語のときちょこっと出てきたあの効果が深キョンやアンナに「かわい~♪」と受けたので、監督が「おっ、今の女子にはこれがうけるのか!? ならば、もっと……」とケレン味をだしたからではないかと。 はい、なんの根拠のない私の妄想です。

もう一度観に行こうかな? パコ。

中島監督、次回作、楽しみにしてます!…って、早すぎるって!

 

【追記】YOUTUBEで中島監督のCMを見つけました。(上から「NTT東日本/SMAPのガッチャマン」「ブロバイダーZERO」「サッポロ黒ラベル・温泉卓球編」)
このテイストを観ると中島映画の秘密がわかるような気がします。特に「ブロバイダーZERO」のCMの演出法は、もろ、映画にも見られますね。

投稿者 mori-game

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