赤塚不二夫氏が逝去されました。
赤塚さんは、私に「ギャグ漫画」というものを初めて体験させてくれた漫画家さんでした。私が小学校2年生のときで、たぶんあれは「おそ松くん」だっけ。おそ松くんって、変なキャラばかりでてきて、今でいうところの世の中からはじき出された変人、弱者ばかり。チビ太とか、はた坊とか、デカパンとか、イヤミとか……。ギャク漫画だから、結局それらのキャラがドジ踏んで笑いをとるというパターンがほとんどでしたが、でも、なんてゆーか、それらのキャラがなんか憎めず、逆に赤塚さんのキャラに対する愛情が当時の自分でも感じることができました。まさに、ティム・バートンの先をいっていてましたね。
実は私、漫画で泣いたという体験は後にも先にも、このおそ松くんだけでした。それはイヤミが主人公で、チャップリンの「街の灯」のオマージュみたいな作品でした。街の灯はハッピーエンドで終わりますが、この赤塚さんのバージョンは、アンハッピーエンドで終わり、そのあまりのイヤミの哀れな結末に子供心に人生の儚さを感じた…かどうかはわかりませんが、とにかく可哀そうで涙が止まらなかった記憶があります。
赤塚さんのギャグ漫画は私の子供のころの「笑い」という名の「心の栄養」でした。情緒ある良質の栄養に恵まれた私は…いや、私と同世代の人々は幸せだったと思いますよ。
赤塚さん、ありがとうございました。
赤塚不二夫氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。