『映画マニア』の間では評判がよかったので、とても観たかったミストでしたが、その評判のわりには何故か拡大ロードショーはしておらず近くの映画館でもやってませんでした。それで、都心に出たついでにやっとこさ観ることができました。
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ジャンル:ホラー/映時間:125分・R-15/給:2007米/ブロードメディア・スタジオ/タッフ&キャスト: [監督][製作][脚本]フランク・ダラボン/原作]スティーブン・キング/出演]トーマス・ジェーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ネイサン・ギャンブル ローリー・ホールデン

 

 

で、感想……

なぜ『映画マニア』にうけたのか? なぜ拡大ロードショーをしなかったのか? なぜ宣伝コピーを『衝撃のラスト15分!』としたのか? その理由が理解できました。

ネタばれになるので詳しい内容は書きませんが、あのラストはハリウッド的予定調和な映画に見飽きたマニアの方々にはたしかに刺激的でしょう。しかし、一般のライトユーザーの殆どは『映画を観終わった後の心の着地点』を見失ってとまどってしまうでしょう。一般受けしませんよ、ありゃ。私はあのラストが『この世の中、正義も神も仏もあるもんか! ケッ!』てなニヒリズムの塊に感じましたが。(思わず「Uボート」のラストシーンを思い出しました。もちろんUボートの方がマイルドですが)

とにかく、ラストまでは文句のつけようのない秀逸なできでした。「初代:ポセイドンアドベンチャー」や「遊星からの物体X」にも勝るとも劣らない「不信と懐疑心が導く人間の心の醜い変貌」、「Uボート」のようななんとも息苦しい「閉鎖感」、そして「エイリアン」のような見えないクリーチャーの不気味さ……(例えとして適当かな?)。飽きさせません。さすが、「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」等の名作を撮ったフランク・ダラボン監督の職人芸を感じさせます。

しかし、ラストシーンだけは何が狙いなのか?不明です。 見終わった後「まぁ、スティーブン・キングらしいっちゃ、らしい陰気くささだけど……」と無理やり自分を納得させはしたものの、正直、しゃくぜんとしませんでした。原作も、あんな感じの終わり方なんだろうか?(私は原作を読んでいません) で、調べてみたら、やはり原作と映画のラストは違うということが分かりました。原作はまだ希望のある終わり方だったそうですが、映画の方の、あのなんとも言えないニヒルな終わり方はデボン監督によるオリジだそうです。なんでも変更したラストをスティーブン・キングに打診したところ「グッドアイデア!」と快諾してもらったとのこと。ほんとかなぁ? 同じように脚本を変更したことで有名な「シャイニング」の時はキューブリックに怒り狂ったらしいのに、デボン監督にはOKとは。あたしには「変更による後味の悪いラスト」という点では、どちらも同じにように感じられるんですがね。もしや、デボン監督はショーシャンクやグリーンマイルを成功させた監督だから、大目に見てくれたのかな? ……まぁ、どうでもいいか。

でも、なんだかんだ言ってもよくできた作品であることには間違いありません。お約束的なエンターテイメント映画に食傷気味な「通」の方にはお勧めです!

投稿者 mori-game

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