観た。いや、観てしまった… 去年から気になっていた、いわくつきの映画”チーム★アメリカ/ワールドポリス”を。



 で、感想――


う~ん…… なんと感想を言っていいものか困ってしまった。正直言って、私にはこの映画が理解できなかったのだ。もちろん笑えるところでは笑えたし、観た目どおりの感想は言える。しかし、この映画のもつ”毒の真の意味”がついに理解できなかったのだ。


制作はあの毒満載の風刺アニメ”サウスパーク”のスタッフだ。実は私はサウスパークのギャグが笑えない。あの毒気と風刺とグロナンセンスのギャグが理解できないのだ。もちろん偽善者ぶって言ってるつもりはないし、ギャグ自体の意味がわからないと言っているわけでもない。ギャグの裏に隠れている”毒の真の意味”が分からないのだ。サウスはアメリカのアンダーグランド、言い換えれば”アメリカの恥部”をネタにしている。私はそれらの俗文化はメディアを通して知識として知ることだけでは真に理解できるものではないと思っている。そう、実際にその文化が根付く土地で生活して体感してみないと理解できないと思っているのだ。


話はそれるが、昔、仕事でアメリカに行った時、サンフランシスコに住んでいた友人と会って話しをしたことがある。彼はそこに3年以上住んでいたが、彼から聞いた生々しい日常生活の体験談は今でも忘れることができない。特に人種差別問題は本人自ら体験したようで、『知ってはいたが、実際体験するとかなりショックだった』と言っていた。サウスで取り上げられるネタ、例えば人種差別、弱者いじめ、宗教問題、貧富の格差、政治問題等も、こちらで遠いアメリカの事と思って漫然と観ていては”真の毒の意味”は理解できないのではないだろうか? 実際は、あの番組を観ている日本人の理解とは全く異質のものなのかも知れない。それは、陳腐な例だが、日本のサブ文化であるヲタク文化をアメリカ人が勘違いしているのと同様に。


”チーム★アメリカ”の話に戻るが、私は、そのような意味も含め映画を楽しむことができなかった。仮に私がアメリカに2、3年住んで俗な生活に浸っていたら、少しは理解できたのかも知れない。でも結局、理解できなかったので、この映画は私にとって”エログロナンセンスのクレイジーな風刺人形劇”以上でも以下でもないという結果になってしまった。う~ん… あれで1800円の対価はちょっとつらいなぁ…。でも、それでもいいところは見出せるものだ。私が唯一あの映画で感心したのは”アメリカの表現の自由のパワー”と、”人形の感情表現の技術が何気にサンダーバードの頃より進化していた”というところか。(フォローになってないな) 特に表現の自由に関しては、某社会主義国家の将軍さまをパロっているところなんかは、日本では”天地がひっくり返ってもできないだろう”な思った。(メジャーなメディアではね) 全く持って命知らずだ。それに比べて日本の表現の自由のヘナチョコなことよ…


 


いやはや、”いろんな意味”で考えさせられた”ヘンな映画”だった。


PS:ちなみに映画を観終わって場内から出てきた客の顔のほとんどが眉間にしわを寄せていた。(苦笑)

投稿者 mori-game

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