私は夏になったら海やプールへ行って体を焼かないと夏をすごした気がしないという、典型的な夏人間である。


――と、いうことで遅ればせながら近くの市民プールへ行ってきた。(海はちょっと無理だな)



入場料は大人がなんと700円。去年より値上がりしていた。ここって市民のためのプールだよね。700円って市民が気軽に楽しむ施設の料金にしては高くね?


中に入ると夏休みもあと僅かの日曜日のせいもあってか、場内は芋の子を洗うような賑わい。複数あるプールのどれも泳げる状態ではないのだが、一部のプールの一箇所だけ泳ぎ専用の為に仕切られたコースがある。私はここに来ると必ずそこでのんびりと泳ぐことにしている。そしてひとしきり泳いでコースの端で休憩していたら、向かいから若い男が私の方へ向かってすげえ勢いで泳いできた。運動不足だろうか? 泳ぎきった彼はすごく息をきらせている。男は遅れて泳いできた彼女らしき女性に向かって『このコース、何メートルかな? 25メートル?』としきりにコースの長さを気にしていた。『25メートルくらいじゃない?』と彼女が言うと、男は『なら疲れるわけだ』と納得。しかし、それでも距離が気になるらしく近くにいた監視員のバイトの兄ちゃんに訊いていたが、その兄ちゃんは分からないという。『う~ん、何メートルかなぁ……』としきりに気にするので、私が教えてあげた。


『13メートルぐらいですって』


『ええっ、13メートル!? たった?』


彼は、たったそのぐらいの距離で息が上がっている己の運動不足にショックを受けたらしく、しばし絶句していた。


ちなみに私が13メートルと言った根拠は、去年、監視員の兄ちゃんが、それくらいの距離だと教えてくれたからだ。コースを進行方向へ向かって眺めてみると、たしかに13メートルぐらいに見えるので何の疑いもなく信じていた。(あと、おっさんの私が楽に泳げる距離なので、そんなもんだろうとも思っていたので)


ところが、プールから出て改めてコースを横方向から眺めてみると――あれれ? 結構長い……。コースの近くに立っている人間を物差しにして大雑把に計ってみると20メートル以上はありそうだ。(錯視というやつですか)


『ありゃりゃ。こりゃどう見ても13メートルじゃないな。俺、ウソ教えちゃったみたい……』


早速、そのカップルの男に間違いを告げようと再びプールの中へ入り彼を探したが、既にコースには彼の姿はなく、何処に行ったのかわからなくなった。


『余計なショックをあたえちゃったかなぁ……』


”人の言ったことは鵜呑みにせず、まず一度自分で確認して他人へ伝えましょう”、という戒めの典型的な例ですな。反省、反省……。

投稿者 mori-game

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