なんかいろんな評価が出ているみたいだけど、私はロン・ハワードがあの原作をどんな風に映像化したのかが気になって観てみた。


 原題:The Da Vinci Code/監督:ロン・ハワード/脚本:アキバ・ゴールズマン/撮影:サルバトーレ・トチノ/出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン/2006年アメリカ映画/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


で、感想――



普通におもしろかった。が、そんなに原作に忠実に描かなくてもいいのに……とも思った。たしかに原作は『謎解き』がメインで、それなしには成り立たない物語だが、あの謎解きの為の情報量を2時間半ちょいで描ききるには、かなり無理があるだろう。特に前半は登場人物全員饒舌ペラペラ情報過多状態でよくしゃべるしゃべる……。私は今だかってこんなにおしゃべりな映画を観たことがない。まるで橋田壽賀子がシナリオを書いたのかと思った(笑)。


私は原作ものの映画化は原作の絵解きではなく、映像作家(監督)が原作を自分なりの映像的解釈でアレンジして描けばよいと思っている。これは以前、大沢在昌氏や宮部みゆきさんらとお話しした時、彼等も同じことを言っていた。『小説と映画は別物ですから』と。


私は原作を読んでいたから映画にはついてゆけたが、原作を読んでいないお客さんは、よっぽど集中力があるか頭の回転がよくないと、途中でわけがわからなくなるかもしれない。ましてや途中でトイレに立とうものなら一巻の終わりかも。くれぐれも『海猿おもしれえ~し~』てなフィーリングのカジュアルなカップルは注意されたし。


と、若干の不満もありながら観ていた私だったが、終盤になると突然おもしろくなってきた。ネタバレになるから詳しいことは書かないが、ついに『導師』がその正体を現す辺りから原作を無視?し、映画のノリで飛ばしはじめたからだ。その急展開にまるでシナリオ担当が変わったのか?と思ったぐらいだ。(あくまで前半に比べればという基準だが…)


なんだかんだ言っても、落ち着くところに着地できたんじゃない?という感じで映画は終了した。なんでも、世の中には『イエス・キリストを冒涜している!』とこのフィクションの話しに対してムキになっている真面目な方々もいらっしゃるようだが、もしイエス様がその様子をご覧になったらこうなったかも――


 


『ブンチョウ伝・第三章一節より』


その時イエスは、イエスを冒涜する書物を読み憤る弟子達に向かって、こうおおせられた。


『弟子達よ。なぜあのような作り話に心を惑わす。なぜ私が信じられぬ。この信仰薄きものたちめ!』


 


神様という存在は、あのような『とんでも系』の話でひっくりかえるほど軽い存在ではないのですよ。


 私が信じるイエス様は、私の故郷の教会におられるイエス様(写真)です。(ちなみに私は不心得なクリスチャンです)


【追記】原作をうまくアレンジしたといえば、私はジュラシック・パークのスピルバーグを誉めたい。原作の前編でそのほとんどを費やした『DNAから恐竜を復活させる難しい理論』を、映画で平気でアニメにしちまうんだもんなぁ。『良い子の皆さんには難しいからアニメでね!』ってな感じで。

投稿者 mori-game

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