韓国戦で劇的勝利を飾ったせいか、TVでは王監督の誇らしげな表情が飽きるほど流されているようです。


王監督といえば思い出す~遥かな尾瀬~♪……ではありませんが、私は王監督にはちょっとした思い出があります。



私は大学生の頃、地元(宮崎県)の放送局でENG、つまり報道取材クルーのバイトをしていました。事故現場に犯罪現場、県議会場から民間の家まで、陸海空、ANYTIME、ANYWHEREな取材をしていましたが、中でも一番楽しかったのはプロ野球チームのキャンプ取材でした。


 写真は巨人のキャンプ地、宮崎県総合運動公園のサイトより(なつかしいな……)


宮崎県は多くの球団がキャンプをすることで有名です。私がバイトをやっていた頃は、巨人(アンチは読売という)、広島、ヤクルト、中日、近鉄等がキャンプをしていました。で、一般人に一番人気があって、報道陣に一番人気がなかったのが『巨人』でした。報道陣に人気がなかったのは、当時の巨人のフロントの態度が凄く傲慢だったからです。(選手のせいではありませんよ)。なにせ同じクルーのカメラマンにケンカうってきたアホ・フロントがいましたからね。


当時の巨人は監督が長嶋さん。王さんはまだ現役でした。原さんはまだ新人だったかな? 守備練習で球を落として、おどけてばかりいる中畑を『真面目にやれ!』と珍しく厳しい声で叱る長嶋さんや、調子の悪かった新浦をネチネチといじめる堀内を生で見られたのは結構おもしろかったです。報道陣の役得というやつですね。で、その中で一番ときめいた取材は憧れのホームラン王の王さんでした。王さんといえば、それまでの私の王さんのイメージは『真面目がホームランを打っている』という感じでした。真面目一筋、努力の人、きっと日頃の言動も優等生なんだろうなぁと。しかし、そのイメージがこのバイトで見事に壊されるとは予想もしていませんでした。


練習を終えた王さんが、仲の良い報道陣(多分、日テレ)と談笑していたので、私達のクルーもその話を聞きに行きました。王さんは、どうもハワイにゴルフをしに行った時のことを話していたようでした。(注:以下の王さんの台詞は正確ではありませんが、だいたいの内容はあっています)


王さん「いやぁ、高所恐怖症の俺が初めてヘリコプターに乗ったんだけど、ちょうどヘリが低空で崖を超えた瞬間、いきなり海がずっと下に見えてヘリが高いところを飛んでんだよ……」


で、この後の台詞が私の王さんに対するイメージを塗り替えてしまいました。


王さん「いやぁ。ビックリしてさ、キン*マがヒョイと上にあがっちゃったよ~。もうヘリには乗りたくねえなぁ」


(王さんは東京下町出身なので、ちょっとベランメエ調が入っていました)


この後、報道陣は全員爆笑していましたが、私は笑えませんでした。だって、あの王さんが、巨人の顔である真面目な王さんが、小学6年生の表紙で真面目な笑顔をしていた王さんが、ナボナは御菓子のホームラン王ですと真面目に言っていた王さんが、リポビタンDを真面目に飲んでいた王さんが、ボンカレーもよろしく!と真面目に宣伝していた王さんが、巨人の星で漫画にされても真面目だった王さんが、まさか『キ*タマ』というお下品な言葉を口に出されるとは思いもしませんでしたから。


で、それから私は王さんに失望したかというと実はその逆で、その王さんのマスコミでは絶対見せない気さくな人柄が大好きになり、ますますファンになってしまいました。それから王さんはホームラン通算756号という大記録を達成し、国民栄誉賞第1号となり、その後勇退され、そして監督となって今にいたっておられます。


TVのニュースでWBC世界一を目指す真面目な王さんの顔をみる度に、『キンタ*』の言葉を思い出している人間は、日本広しと、いえ、世界広しといえども私ぐらいのもんでしょう(笑)


がんばれ王ジャパン! 


 


【追記1】ちなみに長嶋さんは、公私とも全く変わらない人でした。さすが天才。


【追記2】当時の報道陣に一番人気があった球団は広島カープでした。フロントの報道陣に対する心遣いが暖かかったです。選手と同じ昼食も食べさせてくれました。あのときの『うどん』の味、今でも忘れられません。さすが市民球団!


【追記3】当時の巨人のフロントの態度の悪さは評判でした。私は昨今の巨人の不振も絶対フロント連中のせいだと思っています。選手がかわいそうです。ひっこめ、ナベ*ネ!

投稿者 mori-game

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