12月8日は不思議な日で、『戦争を肯定した日』でもあり、『戦争に反対した日』でもある。
前者は言うまでも無く『太平洋戦争開戦日』。後者は最後まで平和と愛を世界へメッセージし続けた『ジョン・レノンの命日』である。そのジョンが他界してもう四半世紀たった。
――と、いうことでビートルズファンである私は”さいたま新都心”にある『ジョン・レノン・ミュージアム』へ行って来た。
ジョンの命日とあって場内には平日にもかかわらず入場者が多く、その大半がジョン、そしてビートルズとともに青春を謳歌したと思われる年配の人達だった。(私もその一人だが) また、献花スペースも設置され沢山の美しい花が捧げられ、改めてジョンの死とその存在の大きさを実感させられた。
館内はジョンの人生の区切り目に合わせて、いくつかのゾーンに分けられていた。特に私の印象に残ったのは『ゾーン9:ハウスハズバンド』。これはジョンが『ハウス・ハズバンド(主夫)』となり子育てに専念し、そして新たなる活動を再開しようと決意した時代だ。子供の頃から『幸福』の二文字に恵まれなかったジョンが人生の最後に初めてそれを味わえた時代でもある。ゾーン内にはジョンとヨーコ、そして愛息のショーンの3人とで軽井沢旅行をした時の記念写真がスクリーンにスライドで上映されていた。その前で1人だけ椅子に座って見入っていた年配の婦人のとても穏やかな表情が印象的だった。ゾーンはここで終わっている。ゾーンを出ると通路の白い壁に、ただ『12月8日』の文字が書かれているだけだった。
ジョンの『Love&Peace』のメッセージは今でも世界中の人々の心に受け継がれている。しかし残念なことに現実はそのメッセージが具現化することはなく、あいも変わらず人々は憎しみあい、今も世界の何処かで戦争がおこり罪無き弱者が殺されている。(何故か強者はぬくぬくと生きているが) 戦争は政治的手段とうそぶく者もいるが、殺し合いを正当化するほど人間は愚かで絶望的な生き物だとは思いたくない。ジョンのメッセージは理想論ではない。右とか左とかいう小難しい思想でもない。ただ、ひとりの人間としての『魂の声』だ。
12月8日――。ジョンを知らない若い人達もこの日のことを記憶にとどめ、そして彼の魂の声を伝えていってくれれば、きっとジョンも喜ぶだろう。
Imagine there’s no countries
It isn’t hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace….
想像してごらん 国境なんて存在しないと
そう思うのは難しいことじゃない
殺す理由も、死ぬ理由もない
宗教なんてものも存在しない
想像してごらん すべての人々が
平和のうちに暮らしていると…
(ジョン・レノン『イマジン』より)
(写真は、ライブ開場に設置されたジョンの追悼と平和の願いを込めたロウソク)
屋外ではライブコンサートのイベントも行われ、選び抜かれた多くの素人バンドがビートルスナンバーを歌っていた。私はそれを時間の許す限り聞き入った。12月の空の下、さすがに夜ともなると気温は低くなり体も冷え切ったが、ジョンの詩によるビートルズナンバーが心を熱くしてくれた。特に『40代のおっさんバンド((バンド名失念)』が最高だったぜ! イエーー!(写真下左)
――『ダブルファンタジー』のヨーコのパートを外し、ジョンのパートだけを編集したテープを聞いていた文鳥
【追記】ジョンが他界した12月8日はNYでの日付です。日本では12月9日となります。(どうでもいいけど…)