TVドラマ版『火垂るの墓』を観た。私はアニメ版『火垂るの墓』のラストシーンで、パブロフの犬よろしく条件反射のように泣いてしまう人間なので、実写版が気になっていた。
で、感想―― (注意:辛口です)
パブロフの犬は、やはりあのシーンで泣いた。おまけに焼酎なんか飲みながら観たもんだから酔って感情が増幅され、清太役の石田法嗣の演技力もあってか嗚咽がでるほど泣いちまった。(恥)
ドラマは清太と節子を見捨てた澤野久子の視点から描かれていたようだが、う~ん……この設定は正直いまいちだった。戦争の悲惨さは、あの兄妹の不器用な生き様ですべて語り尽くしているというのに、なんであんな『説明役』を作る必要があったのかな?とドラマも観ながら思っていたが、その理由は最後の澤野久子のセリフでわかった。
『これが戦争なのよ!』
『死んだら負けなのよ!』
――どうやら、久子にメッセージを言わせたくて仕方なかったようです。いやはや、それはないでしょう……。せっかくのあの兄妹の演技も、私の流した涙もすべてぶち壊しじゃないですか。どうして、メッセージを直接、言葉で言わせるかな~ ええ?シナリオ作家さんよ。安っぽい言葉では伝えられない『大切なもの』を伝える為に『ドラマ』という方法論を使ったんじゃなかったのですか? それともシナリオ作家さんはアニメ版『火垂るの墓』を作った高畑監督の『平成狸合戦ポンポコ』のラストシーンにでも影響されたのでしょうか? いずれにしてもメッセージがあるなら、物語自体で語って欲しい。特にラストのスタッフロールバックのイラク戦争の被害を受けた子供達の映像は狙いはわかるが、あざとすぎる。あれじゃ逆効果だ。
結論から言えばこのドラマ、楽しめたことは楽しめたが、清太役の石田法嗣の演技でもったって感じでした。(節子役の佐々木麻緒と澤野善衛役の要潤もよかった)
……ところで、ドラマとはぜんぜん関係ないけれど、夏に他界した私の祖母は、私が幼い頃に良く戦争の話をしてくれた。作家のように演出するでもなく、『戦争はいけない!』とかいう強いイデオロギーを主張するでもなく、ごくありふれた世間話の様に淡々と語ってくれた。その内容は何故かオヤジとなった今でも私の心の片隅に深く刻みこまれている。
――戦争の話をしてくれた祖母に感謝している文鳥…