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「トワノクオン」(左) http://www.towanoquon.com/
監督:飯田馬之介/キャラクターデザイン・アニメーションディレクター:川元利浩/協力監督:もりたけし/シリーズ構成:根元歳三/コンセプチュアルデザイン:武半慎吾、出渕裕/ベスティアデザイン:水畑健二/美術デザイン:成田偉保、青井孝/デザインワークス:斎藤恒徳、吉岡毅、片貝文洋、鎌田誠/アクション監修:中村豊/色彩設計:水田信子/美術監督:根本邦明(草薙)/撮影監督:福士享、木村俊也(T2 Studio)/3D・CG制作・モニターグラフィックス:サンジゲン/編集:重村建吾
音楽:川井憲次/音響監督:若林和弘/音響効果:倉橋静男/アニメーション制作:ボンズ/製作:バンダイビジュアル、ボンズ、博報堂DYメディアパートナーズ、ショウゲート、ラ/
ンティス、ムービック、ソニーPCL/配給:ショウゲート/

「コクリコ坂から」右) http://kokurikozaka.jp/
原作:高橋千鶴、佐山哲郎「コクリコ坂から」(角川書店刊) /企画:宮崎駿/ 監督:宮崎吾朗 /脚本:宮崎駿、丹羽圭子 /プロデューサー:鈴木敏夫 /音楽:武部聡志(徳間ジャパンコミュニケーションズ) /提携:スタジオジブリ、日本テレビ放送網、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、ディズニー、三菱商事、東宝 /特別協賛:KDDI /特別協力:ローソン、読売新聞 /配給:東宝 /アニメーション制作:スタジオジブリ

 

 この夏公開されるジブリアニメ「コクリコ坂から」は言わずと知れた宮崎駿氏の長男である宮崎吾朗監督による作品である。かたや「トワノクオン」は宮崎駿氏の弟子であり、氏と本音で話せる(歳の離れた)友人でもあった故・飯田馬之介氏の遺作である。

 宮崎吾朗氏と飯田馬之介氏。一見、なんの関係もなそうな二人だが実は共通点がある。それは「宮崎駿」という優秀なアニメ作家が持つ作品に対する考え方や表現方法、そして一人の人間としてのあるべき姿を常に考える氏の態度を尊敬し引き継いでゆこうという「強い意志」を持っているところである。

 吾朗氏がそうである事は、それを思わせるメディアでの彼の言動、ジブリ内での位置づけ、そしてそれが表面的な表現で終わった為に失敗作となってしまった前作の「ゲド戦記」から感じ取れる。しかし吾朗氏はタイヘンだ。「宮崎駿」という一作家の意思を継ぎたいという彼の純粋な想いも、自分がその作家の息子であるという理由だけで世間から他のアニメーターよりも5割増しに厳しく見られ、親の七光だとも揶揄される。「宮崎駿の息子の宮崎吾朗」というイメージから、「一アニメ監督の宮崎吾朗」というイメージを獲得する為の第一歩としても「コクリコ坂から」は彼の意志の強さが本物であることが試される正念場となるのだろう。

 一方の馬之介氏は、以前、私が氏と仕事でお付き合いがあった頃に本人から聞いた話や、作風(特に緻密な設定や良く動くアニメーション)からそれが感じ取れる。これは馬之介氏を良く知る私の友人から聞いた話だが、実は過去、馬之介氏にはジブリに入ってもらおうという話があったそうだ。馬之介氏は宮崎氏本人に向かって「俺は宮さんの意思を引き継ぐ!そして宮さんを超える作品を創ってみせる!」と宣言し、それに対して宮崎氏は「やれるもんなら、やってみろ!」と氏らしい?励ましのリアクションを返していたそうだ。しかし、実際は諸般の事情でジブリに入る話は流れ、その後馬之介氏はその想いをなんとか達成しようと孤軍奮闘されていたようだ。が、去年、残念なことに氏はその想い半ばで他界された。そして、その想いはそれを理解する氏の長年の仕事仲間達に引き継がれ「トワノクオン」というカタチになった。

 宮崎吾朗氏と飯田馬之介氏。「コクリコ坂から」と「トワノクオン」。それらの作品に込めた両監督の「想い」の原動力は同じものなのだろう。そして奇しくもその両作品が同じ年の夏に公開される。映画館によっては同じ館内での上映となる(例えば新宿の「バルト9」等)。 作品をビジネスとして捉えている関係者は作品評価や観客動員数が気になるところだろう。それはそれで現実だ。しかし、私にとってはそんな事より、両作品の向こう側にあるものを観てみたい。憧れの父を超えてゆきたいという宮崎吾朗氏の意志と、憧れの師匠を超えて行きたかった今は亡き飯田馬之介氏の意志を。

追記:意志を意思と誤記してたのを修正しました。

投稿者 mori-game

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