台風は直撃しなかったものの、その影響で風が強かった今日一日。夕方、買い物に出掛けた近くのショッピングモールの通路から綺麗な夕焼けが見えたので思わずケータイで写真を撮ってみた。すると、側を歩いていたどこかのおばさんが「まぁ、みんな写真を撮っているのね」と言った。どうやら、あの夕焼けを撮っていたのは私だけではなかったらしい。
自然は芸術家だ。それもすべての人の心を虜にする超一流の芸術家だ。人間のそれのように理屈っぽい作為があったり、未練がましくいつまでも形に残そうとはしない。その一瞬一瞬の輝きを大切にし、美しく消えてゆく。実は人間は、原始人だった頃から自然の芸術の鑑賞法を知っていたのかもしれない。だから、誰に教わるでもなく無意識にその芸術の前で足を止めてしまうのだろう。
明日は天気が良さそうだ。でも台風の影響で残暑が短くなり、秋の到来が幾分早くなっただろう。季節はもう秋か…… そうだ、あの夕焼けにタイトルをつけてやろう。「夏の終わり」――いやいや、それでは何か寂しいから、「秋のあいさつ」とでもしておこう。
――詩人な文鳥（笑）