三谷幸喜のコメディーは嫌いではないので、観に行ってみた。
cast/佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行、小日向文世、寺島進、戸田恵子、伊吹吾郎、
で、感想……
映画館で声出して笑ったのは、どれくらいぶりだろう……なんて、上映終了後に思わせたぐらい、私にとってはおもしろい映画でした。
内容は、彼のテレビ作品『合い言葉は勇気』のように、役者が別の人物になりすまし対峙する相手とかけひきをするというもの。ただ、合言葉~の場合は役者がそのことを自覚しているが、今回の作品は『役者がだまされて』ひきうけるというところが相違点かな。
正直いってこの作品、三谷幸喜好きでないと心の底から楽しめないかもしれません。て、ゆーのが、全編にわたって「三谷幸喜ワールドのお約束(文法)」がちりばめられているからです。パロディー(自他とも)、オマージュ、好都合主義、舞台的演出…等、お堅い映画マニアな人が観たら『苦笑』するかもしれませんね。でも、そこが三谷ワールドの味ともいえると思います。もちろん、三谷幸喜のテレビや舞台で鍛え上げた分かりやすいエンターテイメント手法は、彼の文法が読めない人でも十分に楽しめるものになっていますのでご安心を。
そうそう、思い出した。私は昭和30年代の映画館で育った人間なので(親の仕事が映画の看板屋だった)赤ん坊のころから映画館に出入りしていましたが、その頃の映画館内では作品を鑑賞…いや、楽しむお客たちの、笑い声や、溜息、驚きの声…等の感情に埋め尽くされていました。正直、作品の質よりも、みんなで同じ感情を共有することの方を楽しんでいたかのように思えます。そんな雰囲気を私はこの作品を上映している劇場内に感じました。
『みんな難しいことを考えずに、娯楽を楽しみながら知らない人と一緒に声を出して笑いませんか!』
てな、感じでね。
ところで、前回の作品『有頂天ホテル』も、今回の作品もそうだけど、彼ってスタッフロールで出演者に序列をつけないんだね。(前回はあいうえお順。今回は登場順) そして、自分が監督なのに、それも最後にしませんでした。そのあたりのこだわりに彼の作品のおもしろさの秘密を感じるのは、私だけ?
ザッツ、エンターテイメント! 難しいことを考えず、知らないお客さん達と一緒に笑いたい人にはお薦めです!