ティム・バートン、ジョニー・デップの仲良しコンビの新作『スウィーニー・トッド』を観ました。
監督:ティム・バートン/脚本:ジョン・ローガン/出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、サシャ・バロン・コーエン、ティモシー・スポール /2007年アメリカ映画/1時間57分/配給:ワーナー・ブラザース映画
で、感想――
いやぁ~……こりゃまた、スゲェ~映画を撮りましたなぁ、ティム監督。前知識なく観たのですが、なんとミュージカルだったのですね。で、後で調べてみたら舞台ミュージカルを映画化したものだったそうで。で、ミュージカル自体は悪くはないのですが、歌のタイミングがクドく感じました。私はサウンド・オブ・ミュージックで育った人間なので、唄うタイミングにそれなりの序破急がないとツライのです。ティム監督はあまりミュージカルは得意じゃないのかな? 歌って、ドラマの流れの中の『ここぞ』というタイミングで唄ってくれないと、物語の感情移入を削がれるんだよなぁ……。正直、この映画を観ながら『たのむから、ここで唄わないでくれ』と何度思ったことか。
あと、グロいシーンが後半何度も出てきますが、なんだろ、あの表現は? なんか違うような気がする。つまり、グロさの表現方法に何の工夫もなく、ただリアルに描くものだから、正直、観ていて『生理的に不快』になってしまうのです。『これじゃ、もろじゃん……』てな感じで。例えば『300』のように、『劇画のようなウソっぽさを感じられる工夫したグロさ』で描いてくれれば観ている方も納得できたのに……。
ミュージカルの演出法とグロさの表現には、いささか不満もありますが、でもトータル的に観て、あんな超ブラック(狂気?)な設定の物語をそれでもサラリ?と描ききったティム監督の演出力とデップ様の演技力、そしてCGを駆使した世界観・美術はやはり大したもんです。ティム監督のダークサイド(狂気)爆発という感じですか。
『ティム・バートンって、そもそもダークでエキセントリックな監督じゃん』と理解しておられる方々には大丈夫な作品ですが、それを理解されていない方々には、それなりの覚悟をしてご覧になられた方がよろしいかと思われます。間違っても『それでも救いのある着地点で終わる物語』を期待してはいけませんぞ。それこそ映画じゃありませんが、別な意味で首を切られますぞ。 ヒ~ッヒッヒッヒ……。
PS:どうでもいいけど、スウィーニー・トッドが『徹夜明けのムクんだ顔の京極夏彦』に見えてしかたありませんでした。