宮崎駿監督が来年の7月に、『ハウルの動く城』から4年ぶりの新作を公開するそうだ。 タイトルは『崖の上のポニョ』


例によってヒットのげんを担いで、タイトルに『の』の文字が入ってますな。


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なんでも今回の作品は宮崎氏曰く『緻密(ちみつ)じゃなく子供が描いたような新しい絵で、アニメ本来の楽しさを出したい』とのこと。CGをいっさい使わず、すべて手描きでやるそうだ。 まぁ、今もアニメ表現の主流は原画、動画、背景は手描きによるものなんだけど、公開された画像をみるかぎりでは、そのような手描きの意味とはちょっと違っていて、『絵本タッチ』というか『手描きだから生まれる人の暖かいタッチ自体』を表現の核とするようだ。



暖かいタッチといえば、以前、高畑監督が『となりの山田くん』で、その様な表現に挑戦していたけど、あれはコンピュータ技術をけっこう使っていた。でも、宮崎氏はコンピュータは一切使わず、氏が以前からよく言っていた『アニメは人間がその手でコツコツと描くのが良いのだ!』という持論をマジで実践するようだ。


しかし、10分ぐらいの実験アニメならいざ知らず、長丁場の劇場アニメでそれをやるっていうのがスゴイなぁ……。


実は私、去年の春に、ゲド戦記で傷心癒えないジブリの山下さんと茶飲み話をした時に、彼から『宮崎さんの次回作は今までのものとはガラリと変わる作品になりますよ~』との話しを聞いていた。(もちろん詳細は極秘だったので一切教えてもらえなかったが)。 あれから、自分なりにどんな作品になるのだろうと胸をときめかせ妄想していたのだが、いやはや、こういう『人間力』を前面に出した、まさにアニミズムな作品になろうとは想像だにしなかった。


ストーリーはオリジナルで、なんでも、あの『ゲド戦記』でその才能をいかんなく発揮された宮崎氏のご子息であらせられる幼き日の宮崎吾郎氏がモデルになっているとのこと。(以下、So-netニュースの記事より引用)


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宗介は昨年「ゲド戦記」で監督デビューした長男、宮崎吾朗氏がモデル。吾朗氏が幼いころ、駿氏は仕事に没頭し、ほとんど家に帰らなかった。吾朗氏の監督デビューは当時への反抗だと思い、猛反対した。「2度と吾朗のような子供をつくらないために」と、親子の距離感もテーマになるようだ。
時代は現代日本。社員旅行で訪れた瀬戸内海のある町をモチーフに、金魚は淡水魚だが、ポニョがすむのは海で、舞台の約8割は海になる。日本映画NO・1ヒットメーカーの描く不思議なシチュエーションは、世界から注目されそうだ。


*注:宗介とは主人公の少年の名前です。


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「2度と吾朗のような子供をつくらないために」


こりゃまた、すげぇコメントですな。(笑) まぁ、歯に衣着せぬ正直なコメントが個性の宮崎氏らしくはありますが……。


ところで――
私が予想するにこの作品、宮崎氏が昔からこだわっていた『手描きによる表現』へのこだわりといい、まるで氏の過去の私生活の穴(吾郎氏との親子関係)を埋めるような『個人的なテーマ性』といい、アニメの世界に半生を費やしてきた宮崎駿氏自らによる『宮崎駿というひとりの人間』の総括的な作品になりそうな気がする。 


もしそうなら――


宮崎さん、この作品を最後に劇場アニメから完全に引退するんじゃないのかな?


――いや、あくまで私の勘です。(もちろん、あたって欲しくはないけどね…)



いずれにしても、デジタルな世界で25年間も飯を食い続けてきたくせに、未だに超アナログ人間の私としましては、宮崎氏の次回の超アナログ作品には興味津々であります。


 


【追記1】
宮崎さん、もしかしたらペトロフ監督の作品に刺激をうけたのかなぁ? 彼の作品の『老人と海』とか、新作の『春のめざめ』なんか究極の『手描きアニメ』だからなぁ。


  『春のめざめ』


【追記2】
『崖の上のポニョ』はペトロフ監督の作品のように、動画一枚ごとに細かなオーバーラップで繋げる柔らかい感じのリミテッドなアニメ手法とみた!(『春のめざめ』のサイトの予告編でその表現が確認できます)


【追記3】
なんでも、ポニョの表現方法は、すでにジブリ美術館でしか観られないショートムービーで実験的に作られているそうな。

投稿者 mori-game

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