なんか映画化もされ、今上映されているようですね。『手紙』


手紙

手紙



  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 文庫


で、感想――


う~ん……。良い作品だとは思うけど、重松清の『疾走』を読んだ後だったので、なんか『魂を揺さぶられる』ほど感動できなかったなぁ…。多分に『疾走』が強烈すぎたせいかもしれないが、『手紙』はシチュエーションは感動できるんだけど、殺人を犯した兄と、そのせいで悲惨な人生を歩むことになった主人公の弟の『心のひだ』ってゆーか、ドロドロした心の粘液ってゆーか、なんかそんなものがグッと伝わってこなかった。最後のシーンも『涙でページを濡らすのか?』と期待したけど、なんか(私には)期待はずれだった。いや、もちろん良い作品なんだけどね。


で、なんか消化不良になったので、また読んでみた。重松を。


流星ワゴン

流星ワゴン



  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫


で、感想――


いいねぇ……。読んでいて登場人物達の『心』がかたちとなって文面から飛び出て来るんだよなぁ。設定は『疾走』とうって変わってファンタジー色?の強いものだが、もちろん彼の作品なのでご都合主義に逃げることなく、しっかりとリアルを描いている。


物語は、家庭を崩壊させ生きる望みを失った37歳の真面目な主人公が、交通事故で死んだ父子の幽霊の力で過去に戻され、何故か主人公と同じ年齢の父親と出会う。現世界で確執している二人は、その不思議な交流をとおして親子の絆を確かめてゆく。同時に主人公は妻と息子との過去の関係も修復し未来を変えようと努力するが、悲しいかな未来は変えられない。それは彼の父親との関係も同じ。しかし、いつしか主人公は『自分が背負った過去を認める』ことで、もう一度人生をやり直そうとしてゆく……。ってな感じ。


子を持つ親には涙もんです。


相性がいいというのかな? 重松氏の作品は妙に私の心に響く。彼は人の心を描く為に最善の言葉を慎重に探している気がする。まぁ、人によっては「ねちっこく、ジメジメ」した感じがするかもしれないが、そもそも人の心って取り留めもなく「ねちっこく、ジメジメ」したもんだから正直でいいんじゃない?


(追記:ただ、重松氏のやたらと力の入った性描写はちょっと……。)


隠し剣秋風抄




隠し剣秋風抄



  • 作者: 藤沢 周平
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫



で、今読んでるのがこれ。藤沢周平のこのシリーズは山田洋二監督の映画「たそがれ清兵衛」や、今キムタクでやってる「武士の一分」の原作として有名だ。最近リアルな現代ものばかり読んでちょっと疲れたので、気分を変えて時代物でも…と思って読み始めた。


で、感想――


時代もの…ってゆーか、武士ものっていいねぇ! なんか「凛」とさせられます。「OH! サムライ イズ ジャパン!」ってな感じ。今夏から某ゲーム会社に通うようになり、久しぶりに通勤列車に揺られる日々を送っているが、くたびれきった乗車客達の面(自分も含め)を毎日見ざるを得ない状況では、この手の本は良き活力剤になりまする。

投稿者 mori-game

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