『おもしろそうなんだけど、ディズニーだからなぁ……』
という理由で、私の周りでは観るのを躊躇している人が多い作品『ナルニア国物語/第一章:ライオンと魔女』を人身御供気分で観に行ってきました。(実は私も「ディズニーだからなぁ……」と観るのを躊躇っていたくちです)
原題:The Chronicles of Narnia; The Witch, The Lion and The Wardrobe/監督・共同脚本:アンドリュー・アダムソン/原作:C・S・ルイス/出演:ティルダ・スウィントン ジェームズ・マカボイ、ジム・ブロードベント/2005年アメリカ映画/2時間20分/配給:ブエナビスタ
で、感想――
大丈夫です。普通におもしろかったです(笑)。
印象としては、ものすごく金をかけたNHKの少年少女向けの海外ドラマって感じかな。(おっと! NHKの海外ドラマをなめちゃいけませんぜ、ダンナ!) あと、知らなかったけど、この作品の監督のアンドリュー・アダムソンって私の大好きな『シュレック』の監督さんだったんですね。どうりで手堅く作っていると思いましたよ。
ネタバレになるので内容は詳しく書きませんが、私は主人公の4人兄弟のキャスティングが結構気に入りました。理由は『映画の主役をはる割には全員の容姿が美形ではなく普通っぽかった』からです。失礼な言い方とは思いますが、ハリーポッターやハーマイオニーに比べるとイマイチの類に入るのではないかな? でも、私的にはそれが良かった。キャラとの距離感がぐんと縮まり素直に映画の中に入ることができましたから。(特に長女役の女の子は、庶民的でいい! 往年の”杉田かおる”を連想させます(笑))
指輪物語のトールキンの友人であったC・S・ルイスの原作を基にしたストーリー展開はとても分かり易く、戦闘シーンも『ロード・オブ・ザ・リング』のように血が吹き出たり首が飛んだりしません。老若男女、家族そろって楽しめるものになっています。まぁ、この当たりがディズニーぽいっていえばディズニーっぽいですけどね。ですから過激な映画好きの血に飢えた方には、この作品はちょっと子どもっぽくて向かないかもしれません。あと、ファンタジーキャラが大好きな『ファンタジーおたく』の方々には、この作品、その辺りをあまり言及していないのでちょっと物足らないかも。
しかし、感心したのはCG。「え? なんでいまさらCGなんかに感心してんの?」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、私が感心したのはクリーチャー系のCGではなく、動物のCGに関してです。特にライオンのアスランの表現技術は個人的に目を見はるものがありました。恐竜とかクリーチャー等のこの世に存在しない生き物等は表現に少々ウソがあってもあまり気にはなりませんが、現実に存在する動物達のCGはどうしても無意識に本物と比較してしまうので、少しのウソも違和感を感じてしまいます。でも、今回のアスランは良かった。(他の動物さん達もよかった) その辺りは昔から『動物ものにはウルサイ』ディズニーのこだわりでしょうか? 私は今だかって、あんなに威厳があってカッコいいライオンを見たことはありません(笑)。
ラスト付近の戦闘シーンは、神話系&トールキン系のクリーチャー達や動物さん達の大チャンポン・バトルでおもしろかったです。(サイがガーゴイル?達をぶっ飛ばしていたし) エンディングのくだりは個人的には好きな終わり方でした。あと、この映画、終わってスタッフロールが出ても直ぐに席を立たないようお勧めします。大切なメッセージ言ってくれますから。
この作品、『ハリーポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』と比べるとちょっと地味ですが、2作品と差別化したファンタジー世界創りに成功したという意味では評価してあげても良いのではないでしょうか? 個人的には3作品の中では一番好きかも。最初から続編を創るくせに、テレビで『続編決定!』とあざといCMはやっているものの、続編ができたら観に行ってもいいかな、っていう感じです。
『ナルニア国物語』、見ても決して損はしない作品だと思いますよ。
【追記1】しかし監督のアンドリュー・アダムソンって『シュレック』でディズニーを散々コケにしていたのに、ディズニーもよく彼に監督をやらせたなぁ~。いやはや、その大らかさ?が大陸的でいいですね。
【追記2】私のCGのお師匠さんに動物CGの表現技術に関して訊いた処、『ジュマンジ』の頃からあれぐらいの技術はあったらしいです。ただ、当時と今の一番の違いはコンピュータの処理速度の違いだそうで、今の方がCGのレンダリング・スピードが圧倒的に速いので、あのように凝った表現ができるようになったそうです。逆を言えば、昔はレンダリンス・スピードが遅く、それに時間をかけていたらスケジュールが守れなかったので意図的に手を抜いたらしいです。