埃まみれのカセットテープ
埃にまみれたカセットテープ。昔聞いた山下達郎のアルバム。埃にまみれた思い出が昔の記憶を引きずり出す…。 ぼんやり過ごした高校、中学… ミーハー心を目覚めさせた平凡、明星… 流行という名の踏絵だったフォークソング…
フォークソング。周りの仲間は吉田拓郎に夢中だったが、何故か文鳥は井上陽水に小椋桂。ガキの頃からの変わり者。陽水なら”能古島の片思い”。小椋桂なら”海辺の恋” が思い出の詩。 純愛に憧れていた頃のウブな自分がへたなオープンコードでギターを爪弾き唄っていた。若い頃に心に刻んだ詩は何故かなかなか忘れない。
能古島の片思い (作詞・作曲:井上陽水)
つきせぬ波の ざわめく声に 今夜は眠れそうにない
浜辺に降りて 裸足になれば 届かぬ波のもどかしさ
僕の声が君に届いたら 素敵なのに (以下略)
海辺の恋 (作詞:佐藤春夫 作曲:小椋桂)
こぼれ松葉をかき集め 乙女のごとき君なりき
こぼれ松葉に火を放ち 童のごとき我なりき (以下略)
山頭火
山あれば山を観る
雨の日は雨を聴く
春夏秋冬 あしたもよろし ゆふべもよろし
好きな詩だ。18年前、松尾芭蕉と種田山頭火に憧れて放浪を続けていた一人のフーテンと出会い、そして別れた。当時、あいつの生き様に対し口先では認めていたものの、実は心からは共感していなかった。時がたち、この歳になってあいつの不器用で正直な生き様が懐かしく思えてきた。
あいつは元気だろうか? まだ生きているだろうか?
出会ったフーテンは、この漫画のモデルになったやつだった。