『男たちの大和』というタイトルからして胡散臭いし、東映だし、角川春樹が絡んでいるので観る気はなかったのだが、私が映画を観るときの参考にしている映画批評家(批評家じゃないな。ただのライターだ)が絶賛していたので『そんなにおもしろいのかな?』と思って観に行ってみた。
*あ、間違えた
で、感想―― (注意:久々の辛口です。この映画に好意的な方は読まない方がよいでしょう)
『おいっ! 前*!(ライターの名前) ちょうちん記事なんか書いてんじゃねーぞ!』
……と、いうところでしょうか。久しぶりに途中で帰ろうかなと何度も思った作品だった。(柄にもなくライターの批評を鵜呑みした私が悪いのだが……)
すべてが中途半端だった。人間ドラマは的が絞り込めてなく唐突だし、いつも同じセットで大和の巨大さは感じられなかったし、某映画をパクッタ壮絶な?戦闘シーンも流れが分かんないし、CGや久石嬢の曲の使い方もいまいちだし、ラストの『一番いいシーン』であるはずところで元海軍のオヤジが平気で陸軍の敬礼やってるし…… なんでこうなるの?というところが満載だった。
いったい監督・脚本は誰なんだよ!?と思ってHPを調べてみたら、なんと佐藤純彌監督。ベテランじゃないですか。う~む… どうしたんでしょうかねぇ… 戦争に対するいろんな個人的な想いが前面に出すぎたんでしょうか? それとも某制作者の熱苦しい想いに調子が狂ったんでしょうか? いずれにしても金払って観に行った自分としては製作者側の個人的な『想い』を観に行きたかったわけではなく、悲劇の戦艦大和と死を伴にした若き兵士達を描いた『物語』が観たかったのだ。その物語を通して製作者側の『想い』を感じさせてくれるのならOKだが、強引に観せられるのは勘弁してほしい。
『とりあえず、おまえの想いは作品の裏にでも…』
――という言葉をどこかで目にしたことがあるが、この言葉がそのままあてはまりそうな映画だった。
この作品で優先されるべきは『製作者側の感傷的な想い』ではなく、大和と伴に”わだつみ”となった亡き3千人近くの『青年達の無念の想い』のはずだ。その本質的なところを勘違いせず、軸となるキャラを絞込み、そのキャラからの視点でもっと丁寧に緻密に青年達の生き様と戦争を描けばもっと良い作品になったかも?しれない。 戦争は客をエンターテイメント的に感動(お涙頂戴)させるための題材ではないはずだ。
――しかし、なんで東映っていつもこんな映画ばっかなんだろうと思ふ文鳥
【追記1】ちなみに佐藤純彌監督は『北京原人』の監督でもあります。『北京原人』は残念なことに『デビルマン』にダメ映画一位の座を奪われました。
【追記2】観客動員数が100万人超えたそうだって。ふ~ん…。
【追記3】まぁ、しかし、客が入るということはそれなりの理由があるということ。それはそれで真摯に受け止めよう。