予告を観た限りでは、ディズニーがディズニー自身をパロってしまうという、今までのディズニーの体制では考えられない、まさかアップルによる株取得の影響か?とか無駄な想像をさせる革命的作品に思えたので、パロディ好きな私は期待しながら観にいってみました。
原題:Enchanted/監督:ケビン・リマ/脚本:ビル・ケリー/製作:バリー・ジョセフソン、バリー・ソネンフェルド/撮影:ドン・バージェス/音楽:アラン・メンケン/2007年アメリカ映画/1時間48分/配給:ディズニー /CAST:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、ジェームズ・マースデン、スーザン・サランドン、ティモシー・スポール、イディナ・メンゼル、レイチェル・コビー
で、感想……
なんだ、これ!? 普通に良くできた、おもしろい作品じゃないか!
てっきり子供向けのパロディばかりのおバカ映画と思っていたら、『よくできたラブロマンス映画』だったので、正直、良い意味でうらぎられたという感じでした。(広告のやり方、もっと考えたほうがいいよ、これ)
物語は、主人公のジゼルがプリンスとの結婚式の日、魔女に騙されてアニメの世界から現実のNYの世界に迷い込み、そこで超現実主義者の弁護士のロバートと知り合う。お互いが現実世界の価値観とアニメの世界の脳天気ともいえるピュアな価値観とをぶっつけあううちに、二人の間にいつしか不思議な感情が芽生えてゆく……というラブコメディーというより、王道なラブロマンスものです。予告でやっているようなパロディはあまり前面に出てこず、どちらかというと、新しいアイデアのラブロマンスを盛り上げるための小道具に使われたような印象を受けました。
あと、ラブロマンスと同時に、病んだ現代人の心を、『純粋無垢な心を大切にする清いディズニーが癒す』という広報的メッセージも見え隠れし、作品の途中で観られるミュージカルなパレードは、まさにディズニーランドのパレードそのもので、ディズニーファンは思わず次の週末に浦安遊園地へ行ってみたくなる衝動にかりたてられるでしょう。
NYでのジゼルやプリンスの言行動は、正直『あれ』な印象をうけ、ちょっと危ない感じもしましたが、どうやら、その演出は確信的になされたようで、片足のない鳩とか、安ホテルでTVに見入る無職者風プリンスのシーンとか、弱者を連想させるものが用意され、実はなかなか計算されておりました。
いや~、おもしろかった。なかなかアイデアな作品でした。ラストのあるシーンは賛否両論あるかもしれませんが、すべてハッピーエンドということでチャラになるでしょう。
『なんかおもしろそうなんだけど、子供っぽい作品なイメージがあるし~』……と、観るのをためらっていらっしゃるカップルの方々! 宣伝の先入観に振り回されず素直に足を運ばれることをお奨めしますよ。
ちなみに私は、かなり脳天気なプリンスが気に入りました(笑)
*しかし、最近の映画の予告ってなんかヘタクソだな。やたらと『ドーン! ドーン!』という馬鹿のひとつ覚えみたいなSE使って派手にやったり、なんかごまかすような目にも留まらぬカット割りしたり、本質じゃない浅い部分を前面に出したりしと……『どうせ客はレベル低いし、これぐらいの方がわかり易く釣り易いのさ』ってな感じで客を馬鹿にした臭いがプンプンするぞ。 配給会社は、もっとキチンと作品の良さを紹介してほしい!