『アイアンジャイアント』『Mr.インクレディブル』の監督:ブラッド・バードがピンチヒッターとして途中からメガホンをとり完成にこぎつけることができたという、ピクサーの新作『レミーのおいしいレントラン』(原題:Ratatouille)を観た。
監督・脚本:ブラッド・バード/製作総指揮:ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン/音楽:マイケル・ジアッキノ/出演:パットン・オズワルト、ルー・ロマーノ、イアン・ホルム、ジャニーン・ガロファロ、ブラッド・ギャレット、ピーター・オトゥール、ピーター・ソーン、ブライアン・デネヒー/2007年アメリカ映画/1時間50分配給:ディズニー
で、感想――
いやぁ~、創造力ってこういうことを言うんだなぁ……と、感心してしまった。
『どぶネズミ(それもリアルな毛並みの)』と『キッチン(それも5つ星レストランの)』という一般人が拒否反応を示しそうな組み合わせをあえて舞台にし、更にドブねずみが料理をするという信じられないシチュエーションをまったく違和感なく映像化させ、おまけに、そのネズミが作った料理がおいしそうに見えるのだから、この作品を作り上げたスタッフの創造力と技術力には『お見事!』としか言い様がない。
CGの使い方も正しく、ただ技術力をみせつけるのではなく、観客を現代のおとぎ話の世界に引き込むための手段として技術を使いこなす『さじ加減』が見事だ。
物語もいつものディズニーというか、ピクサーらしくハートフルで客を裏切らない。エンディングもお約束のようにハッピーエンドで後味が良い。(まぁ、ご都合主義満載ですが、いいんです。ピクサーだから)
あと、最後の料理批評家(なんと、声はあの名優ピーター・オトゥール! )のメッセージがなかなかいい。権威や社会的地位、人種差別によって人の才能に格差をつけることに対する強烈な皮肉は、人の才能とは何かということを考えさせられる。 (ピクサーの映画批評家に対する皮肉にもきこえますが(笑))
ただ気になったのが作品のタイトル。原題の『ラタトーユ』のほうが作品のコンセプトをよく現しているし、ラストシーンにも効果的なのに、なんで『レミーの……』のようなミョウにわかり易い子供っぽいタイトルになってしまったのかな? まぁ、広報戦略的なものだというのは分かるが、もっとなんとかならなかったのかな?
いずれにしても、良い作品です。カップル、ご家族にお奨めです。
ところで、この作品が始まる前に『魔法にかけられて』というディズニーの新作の予告をやっていたが、それが、なんちゅーか『ディズニーがディズニー自体をパロっている』作品な感じなのだ。あと『ディズニーがディズニーを超える』というコピーも気になる。 ディズニー変わったのかな? もしかして、今の筆頭株主がアップル社、つまり、実質のディズニーのボスがスティーブン・ジョブスになったのでその影響なのかな? ジョブスからディズニーの首脳陣へ『人の作品をパクってへらへらしているMSのようなディズニーは許さん! 創始者のウォルト・ディズニーの思想に原点回帰せよ! そのためには一度壊してみろ!』とかなんとか言われたりして……。
んなアホな……(笑)。
*注:MSはマイクロソフトのことで、モビルスーツでも、メタボリック・シンドロ-ムでもありません(笑)。