東大の薬学博士、池谷裕二氏の『進化しすぎた脳』を読んだ。
で、感想――
いやぁ~、面白かった! 面白いといっても、この本、小説ではなく、講談社のブルーバックスという科学を紹介する本だ。
まず、副題の『中高生と語る大脳生理学の最前線』でもわかるように、『講師が生徒に語りかける』という形式で書かれているので、文体が平易で内容が非常にわかりやすい。あと、書かれている大脳の関する最新知識も”目からうろこ”のものが多く、読み続ける度に『へぇ~!』と思わず感嘆の声をあげてしまった。大脳に感する本に、本物の私の大脳が感心しているというのもおかしな話しだが。
そのような興味あふれる知識の中で、特に”目からうろこ”だったのは――
・脳が体をコントロールしているのではなく、体が主体的に脳をコントロールしている。
・人間の論理的思考は言葉という抽象概念ができたから。その抽象概念は脳が生み出したのではなく、咽頭が声を発生できたから。
・人間の目の画素はたったの1メガ。でも、世の中のすべてが鮮明に見えるのはほとんどが脳の補完。
・悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい……つまり、喜怒哀楽等の心(クオリア)は脳内では最後の作業。
・人間の記憶はあいまいだからこそ、意味がある。
・ひとつの結論をだすのに通過する脳の神経細胞は、たったの100ステップ。
……など、目からうろこが出っ放し。茂木健一郎氏の本も面白かったが、こちらも科学の面白さを伝えることでは茂木さんには負けていない。
しかし、脳って、ほんっとに、面白い物体だなぁ……。