以前から興味があったのだが、まぁ、そのうちに読むか…と思っているうちに、いつの間にか文庫本3部作になって売られていたので超遅ればせながら購読してみた。


佐賀のがばいばあちゃん

佐賀のがばいばあちゃん



  • 作者: 島田 洋七
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 文庫

がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!

がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!



  • 作者: 島田 洋七
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 文庫

がばいばあちゃんの幸せのトランク

がばいばあちゃんの幸せのトランク



  • 作者: 島田 洋七
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫


2作目の「笑顔で生きんしゃい」は「佐賀のがばいばあちゃん」の続編、3作目の「幸せのトランク」は作者の青春時代の回想録に「がばいばあちゃん」のエピソードを絡ませたものだ。


で、感想―― 


1作目の「佐賀のがばいばあちゃん」に関しての感想だが、いやぁ、おもしろかった! そして、そのあまりのポジティブ貧乏ぶりに読んでいて心が明るく元気になった。――と、同時に私が子供の頃の祖母とあまりにもその生き方がそっくりだったので、なんか懐かしく、せつなくもなった。(ちなみに私の祖母は去年他界しました。この本のがばいばあちゃんと同じ享年91歳でした)


この作品は80年代初頭の漫才ブームで「B&B」というコンビでダントツの人気を得ていた漫才師「島田洋七」の祖母にまつわる回想録である。「がばい」とは佐賀の方言で「すごい」という意味とのこと。なにがすごいのかというと、その生き様である。戦後の物がない時代に夫に先立たれ、女で一つで七人の子供達を育て、そして驚くほどのポジティブシンキングで貧乏も苦境も乗り越えていったという、そのパワフルさは読んでいて爽快だ。


がばいばちゃんも言っているが、貧乏には「明るい貧乏」と「暗い貧乏」があるという。私も、そう思う。貧しいなりにも知恵と笑いと前向きな考えで明るく生きてゆくのが「明るい貧乏」。その逆で貧乏であることが、あたかもダメな人生と認めるかのごとく後ろ向きな考えをもってしまい心まで貧しくなるのが「暗い貧乏」だと思う。要は幸せというものは「金」だけではなく、「心の持ちよう」だという、しごくあたりまえなことだが、すぐ忘れてしまう大切なことをこの本は楽しく伝えてくれる。


がばいばあちゃんのエピソードを読みながら、亡くなった祖母のことを思い出した。私の祖母も本のがばいばあちゃんのように明るい貧乏だった。女手ひとつで子供を育て、川の横にあった小屋を改造して住居にし、フロも自分で作り、田畑を作って自給自足のような生活をしていた。私は子供の頃、よく祖母の所へ遊びに行き、そのたびに祖母の技や知恵を見るにつけ「ばあちゃんはすごいなぁ…」と感心していたことを記憶している。私の祖母も島田洋七のがばいばあちゃんに負けないくらいに、けっこう「がばく」明るかった。そんな祖母の影響かどうかはわからないが、私は「貧乏人」に対しては悪いイメージはもってないし、逆に金持ちが偉いというイメージももっていない。もちろん金はたくさんあるにこしたことはないが、金がなくても心が豊かだったら、けっこう人生楽しくやってゆけるということを祖母から知らず知らずの間に教えてもらっていたもかもしれない。(でも、実際は教えに反して金がないとクヨクヨしています……)


良い本です。そして愛に溢れています。


こういう本を多くの子供達に読ませるべきだと思う。お子様のいらっしゃる親御さん、お奨めでっせ!


そうそう、この本で書かれてあった、がばいばあちゃんの語録が最高なので、ここに引用しておきます。ヘタな啓蒙書より説得力あります。


詳しくは、佐賀のがばいばあちゃんのサイトをご覧あれ!


■嫌われているということは、目立っているということや


■悲しい話は夜するな。つらい話も昼にすれば何ということもない。


■通知表は、0じゃなければええ。1とか2を足していけば5になる!


■葬式は悲しむな。丁度よかった、しおどきだった


■人がこけたら笑え。自分がこけたらもっと笑え。人はみんなこっけいだから。


■生きていることが面白い。なりふりかまうより、工夫してみろ。


■人に気づかれないのが本当の優しさ、本当の親切。


■ケチは最低!節約は天才!


■「暑い」「寒い」と、うるさく言うな。夏は冬に感謝し、冬は夏に感謝しんしゃい。


■時計が左に回ったら、壊れたと思って捨てられる。人間も昔を振り返らず、前へ前へと進め!


■世の中には、病気で死にたくない人がいっぱいおるのに、自殺なんて贅沢だ。


■今のうちに貧乏しておけ!金持ちになったら、旅行へ行ったり、寿司食ったり、着物を仕立てたり、忙しか。


 


【追記】11月21日に映画「佐賀のがばいばあちゃん」のDVDが出るので、早速買って観てみよ~っと!

投稿者 mori-game

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